短い物語 第2話 「絆」
-はじめに
長編はFC2小説で書いていこうと思います。なので、ここでは「短い物語」というものを載せることにしました。他の通常の短編も月に3本載せられればいいなと思っています。
この「短い物語」は、感嘆符や疑問符などが一切ない超短編小説です。
ちょっとした息抜きに読んでいただければ幸いです。
それでは、本編は追記からどうぞ。
長編はFC2小説で書いていこうと思います。なので、ここでは「短い物語」というものを載せることにしました。他の通常の短編も月に3本載せられればいいなと思っています。
この「短い物語」は、感嘆符や疑問符などが一切ない超短編小説です。
ちょっとした息抜きに読んでいただければ幸いです。
それでは、本編は追記からどうぞ。
けんかした。
友達とけんかした。それも本気で、おもいっきり。
小学生のけんかとはいえ、そりゃ痛い。鍛えてるわけじゃないけど、そりゃ痛い。
原因は給食のカレーの量について。
けんかの原因なんてそんなものだ。
お前のほうが量多いじゃないか。
なに言ってるんだ、そっちのが多いぞ。
こんな具合だ。
それまでは仲良しだったのに、それからはお互いに口もきかない。
そんなこんなでもう一週間。
いや、それに一日足しておこう。
ぼくはぼーっと空を眺めていた。
部屋からでも、学校の帰り道でも、家の屋根からでもない。
落とし穴の中でだ。
最初は気にもしなかった。ちょっと葉っぱが多いなあと思っただけだ。
しかし、見事にはまった。
そしてその穴の深さといったら・・・えーと、なんて言えばいいんだろう。
そう、例えるなら大人二人分ぐらい。もっとあるかな。
とにかく、ぼくはそこから出られなかった。
放課後、けんかした友達とも仲直りできず、一人で遊んでいたらこうなった。
一日足したのは、そういうことだ。ここで散々泣いて、泣き疲れて寝てしまった。
気がついたら朝で、もちろん風邪を引いたらしい。寒いし頭がぼーっとする。
しかも、運が悪いことに普段は人が来ないところだから、まず助けは望めない。
もっと言えば、あのどこでも電話ができる便利なケータイってのが俺にはないってこと。
つまり、絶望。
最初は努力した。登ろうと必死に。
大人二人分ぐらいの高さだから、がんばればなんとかなると思った。
でも、この穴を掘った人は本当に意地悪だったに違いない。
だって、つぼのようになっているんだから。
なんていうのかな、穴がまっすぐじゃなくて、ショベルカーでざっくり掘ったみたいになってるんだ。だから、登ろうとしても途中で落ちちゃう。
すごく反省した。友達とけんかなんかしなければ、こんなことにはならなかったんだ。
そうすれば今も仲良く友達と遊んで、家に帰って、ご飯食べて、ゲームして・・・。
でも、ぼくはもうダメかも知れない。このままここでおじいさんになってしまうのかな。それとも・・・。
死んじゃうのかな。
そんなことを考えてるうちに、また夕方になった。
また寒い夜がくる。
やっぱり風邪を引いたみたいだ。鼻水が出てきた。からだがだるいし・・・。
おい、けんちゃん、どこだ。
なんだ、変な声まで聞こえるよ。
けんちゃん、どこー。
この声、けんかした友達の声だ。でもなんで。
うっ・・・。
いきなり目の前が明るくなった。懐中電灯だ。
けんちゃん、けんちゃんがいたよー。
友達の声と、大勢の大人の声が聞こえて・・・それが最後に覚えてたことだった。
ぼくにはよく分からないけど、ハイエンって病気だったんだって。
ずっと入院して、なんとかいちめいはとりとめたってお医者さんが言ってた。
そして、あの友達がお見舞いに来てくれた。
なんで、ゆうちゃんが来てくれたの。
ばーか、しんゆうを見捨てるわけないだろ。
だって・・・あんなにけんかして、あんなに話さなかったのに。
あんなの、もう忘れちゃったよ。
後でお父さんから聞いた。
ゆうちゃんはな、お前が行方不明だって聞いたら血相変えて飛び出してったんだ。お父さんたちはゆうちゃんまで探さないといけないと必死だったが、見つけたのはゆうちゃんで、報せてくれたのもゆうちゃんだった。後でお母さんとお父さんにすごく叱られてたけどな。本当の友達っていうのは、ああいうものだ。悪口を言おうが、殴り合って喧嘩しようが、友達のピンチには駆けつける。そういう友達は一生大事にするんだぞ。
あれからも、何度もけんかして、ポコスカ殴りあった。
それでもずっと、これからもずっと、〝親友〟だ
友達とけんかした。それも本気で、おもいっきり。
小学生のけんかとはいえ、そりゃ痛い。鍛えてるわけじゃないけど、そりゃ痛い。
原因は給食のカレーの量について。
けんかの原因なんてそんなものだ。
お前のほうが量多いじゃないか。
なに言ってるんだ、そっちのが多いぞ。
こんな具合だ。
それまでは仲良しだったのに、それからはお互いに口もきかない。
そんなこんなでもう一週間。
いや、それに一日足しておこう。
ぼくはぼーっと空を眺めていた。
部屋からでも、学校の帰り道でも、家の屋根からでもない。
落とし穴の中でだ。
最初は気にもしなかった。ちょっと葉っぱが多いなあと思っただけだ。
しかし、見事にはまった。
そしてその穴の深さといったら・・・えーと、なんて言えばいいんだろう。
そう、例えるなら大人二人分ぐらい。もっとあるかな。
とにかく、ぼくはそこから出られなかった。
放課後、けんかした友達とも仲直りできず、一人で遊んでいたらこうなった。
一日足したのは、そういうことだ。ここで散々泣いて、泣き疲れて寝てしまった。
気がついたら朝で、もちろん風邪を引いたらしい。寒いし頭がぼーっとする。
しかも、運が悪いことに普段は人が来ないところだから、まず助けは望めない。
もっと言えば、あのどこでも電話ができる便利なケータイってのが俺にはないってこと。
つまり、絶望。
最初は努力した。登ろうと必死に。
大人二人分ぐらいの高さだから、がんばればなんとかなると思った。
でも、この穴を掘った人は本当に意地悪だったに違いない。
だって、つぼのようになっているんだから。
なんていうのかな、穴がまっすぐじゃなくて、ショベルカーでざっくり掘ったみたいになってるんだ。だから、登ろうとしても途中で落ちちゃう。
すごく反省した。友達とけんかなんかしなければ、こんなことにはならなかったんだ。
そうすれば今も仲良く友達と遊んで、家に帰って、ご飯食べて、ゲームして・・・。
でも、ぼくはもうダメかも知れない。このままここでおじいさんになってしまうのかな。それとも・・・。
死んじゃうのかな。
そんなことを考えてるうちに、また夕方になった。
また寒い夜がくる。
やっぱり風邪を引いたみたいだ。鼻水が出てきた。からだがだるいし・・・。
おい、けんちゃん、どこだ。
なんだ、変な声まで聞こえるよ。
けんちゃん、どこー。
この声、けんかした友達の声だ。でもなんで。
うっ・・・。
いきなり目の前が明るくなった。懐中電灯だ。
けんちゃん、けんちゃんがいたよー。
友達の声と、大勢の大人の声が聞こえて・・・それが最後に覚えてたことだった。
ぼくにはよく分からないけど、ハイエンって病気だったんだって。
ずっと入院して、なんとかいちめいはとりとめたってお医者さんが言ってた。
そして、あの友達がお見舞いに来てくれた。
なんで、ゆうちゃんが来てくれたの。
ばーか、しんゆうを見捨てるわけないだろ。
だって・・・あんなにけんかして、あんなに話さなかったのに。
あんなの、もう忘れちゃったよ。
後でお父さんから聞いた。
ゆうちゃんはな、お前が行方不明だって聞いたら血相変えて飛び出してったんだ。お父さんたちはゆうちゃんまで探さないといけないと必死だったが、見つけたのはゆうちゃんで、報せてくれたのもゆうちゃんだった。後でお母さんとお父さんにすごく叱られてたけどな。本当の友達っていうのは、ああいうものだ。悪口を言おうが、殴り合って喧嘩しようが、友達のピンチには駆けつける。そういう友達は一生大事にするんだぞ。
あれからも、何度もけんかして、ポコスカ殴りあった。
それでもずっと、これからもずっと、〝親友〟だ